キッチン・ダイニング
火を囲み、食を分かち合う。命を育む根源的な営みを美しく包み込む空間。
手仕事の器が映える食卓
わびさびの精神が最も色濃く表れるのが、日々の食卓です。均一に大量生産された食器ではなく、土のざらつきや釉薬の垂れ、少し歪んだ形を持つ作家物の器たち。それらは一つ一つが異なる表情を持ち、手に取った時に独特の温もりを伝えてくれます。
私たちは、こうした美しい器が主役となるよう、ダイニングテーブルには無垢材を用い、背景となる壁や照明は極めてシンプルに設計します。食事が単なる栄養補給ではなく、素材に感謝し、季節を味わう精神的な体験となるような舞台を整えます。
機能と美の調和(用の美)
「用の美」とは、実用的な道具の中に宿る美しさのことです。キッチンは家の中で最も機能が求められる場所ですが、同時に美しく、居心地の良い場所でなければなりません。
最新のシステム機器の利便性を取り入れつつも、表面の仕上げには木や石、鈍い光沢の真鍮やステンレスなど、経年変化を楽しめる素材を採用します。生活感を完全に隠し去るのではなく、美しい調理器具や調味料の瓶が並ぶ風景そのものが、空間の景色となるようなキッチンをデザインします。